リベッテ ディレッテ (WEBサイト制作の中の人の話)

リベラルアーツとディレクション

WEBディレクションにおける統計・確率

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私の業務の中心はWEBディレクション
要件定義、画面設計、制作者への指示といった業務が中心であるが、
クライアントの売上やアクセスログなどをみて、
提案する機会が多い。
業務役割的には、プランナーやアナリストも兼ねている。

この施策は有効だったかどうか。という問いは多い。
有効かどうかを判断するのは、
特定のものと比較する以外にない。
同期間、同曜日、同等施策…。
A/Bテストが一番、時期にも影響しないので、
一番説明はしやすい。

大概、どちらかはよくなるはずなので、
施策の有効性は大まかではあるが回答はできる。
「今年のコンバージョン率はよかったね。」といえる。

最近はその回答の妥当性を問われることが多い。
そこで用いるのが、
統計学にあるt検定を用いた「有意差」である。

有意差を用いれば、
その施策が妥当であったかどうかはわかる。
妥当というのは、どれだけ信憑性のあるものかということだ。

このような知識を頭に入れておかなければいけない状況。

やはり、いろんなデータが簡単に取り出せるようになった時代、
統計学」のスキルが求められるのを肌で感じるのである。

また、ある施策を行ったときのシミュレーションをしてほしいとも言われる。
少し前までは、提案も主観的なもので、
受け入れられた気がするが、
最近は費用対効果を図るために数字を求められる

シミュレーションを行うためには、
「確率分布」を学ぶ必要がある。

いつか、またここで私がやっているような
統計学や確率分布の細かい話をしていきたいが、
私自体は、数学はあまり得意ではない。

しかし、最近になって、仕事に直結したときにはじめて、
その数学の重要性を感じるし、
あの時、もっと学習していればよかったと、
後悔することも多い。

もし、この記事を読んでいるWEB従事者の方で、
この先、自分のスキルに磨きをかけたいのであれば、
勉強すべきは「統計学」と「確率分布」であろう。

数字で表現できることは、
ビジネスを開拓する上で、一番説得のいく手法である。

業務のしわ寄せはどこに消えるのか

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フリー写真素材ぱくたそ

www.yomiuri.co.jp


労務問題はどこでも尽きない。
おそらく解決している企業はごくわずかであろう。
「36(サブロク)協定」の運用を見直しを検討したのは、
大変よい機会であろう。

私のいるWEB業界は、他業界からみれば、
そんなに仕事があるの?と、聞かれるくらい、
残業が多い業界である。
といっても、マスコミ関連よりはマシかもしれないが。
それは、どんぐりの背比べみたいな話ではあるが。

ここ数年の労務問題の騒ぎ方によって、
変わってきたのが、
WEB制作会社やWEBの代理店のクライアント側。

事業を行っている企業だ。

最近、よく聞く話なのだが、
クライアント側の労働時間の制限があり、
無茶振りや丸投げするケースが非常に増えているという。

今までは丁寧な依頼があったが、
最近は雑な依頼が多いという。
しわ寄せというやつだ。

こういったこともマネタイズしていくことが、
経営者としての理想ではあるが、
現場で起きていることは、ほんの些細なことである。

仕事の総量は効率化の取組みをしない限り、
減ることはない。

制作会社や代理店側の労働時間を増加させることにつながる。

今回の法律上の取組みが強まるほど、
労働時間のスライドは起きてくるだろう。
人員追加をしていても、分業や効率化できるところは限界がある。

人間並みの業務処理能力や理解力をもつ
高性能のペッパー君みたいなものが誕生するようなイノベーションが起きない限りは、
限界を突破することができないだろう。。。

しわ寄せは、どこに消えるのか?

法律でなんとかなることはない気がする。
現場のマネジメントで、
うまいことやれといわれるのだろうか。

市場シェアの可視化の大切さ~新入社員時代に習ったこと~

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photo by PAKUTASO

私が新入社員時代の話を書きたいと思う。

libettedirette.hatenablog.com


以前、こういった内容を書いた。

私は、ある外部のコンサルタントのA氏より、
資料作成をする上で、大切なことを3つ習った話だ。

それには続きがあり、
もう1つ、マーケティングにおいて、
有用なことを習ったので、それを紹介しよう。

私はある外資系メーカーのWEB戦略に従事していた。
従事といっても、新卒なのでアシスタントだ。
上司や外部コンサルタントからの指示のもと、資料を作る。

ある外資系メーカーは、
ある商品カテゴリαの中で、トップブランドだ。
守秘義務はもちろんあるため、伏字にしなければならないのが口惜しい。

コンサルタントから習ったのは、
戦略というのは常に市場を意識しなければならないということ。

現状の市場を把握する

まず、そのカテゴリに対して、
積上げ棒グラフのような図を書いた。
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X社は50%程度のシェア率。
クープマンの目標値で言えば、
「相対的安定シェア」である。

クープマンの目標値の説明は下記のサイトを参照されたい。
www.systrat.co.jp


そして、A氏は、あることを付け加えるように、
この箱の面積を広げた。

狙うべき市場は外にあった

この商品カテゴリ自体は、
実は、旧来のカテゴリβから発展して、新しいカテゴリに置き換わったものだった。

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競合企業からどう奪うかの話をすることに終始するのではなく、
旧来カテゴリからどう奪うかの話もすべきなのだ。
X社はトップ会社だ。なおさら意識すべきである。

とまぁ、
いろいろと伏字では恐縮なので(例)にすると以下のようなイメージだ。

・携帯電話:αがスマートフォン、βがガラケー
・視力矯正機器:αがコンタクトレンズ、βがメガネ
・時計:αがスマートウォッチ、βが従来時計
・書籍:αが電子書籍、βが紙の書籍
・録画機器:αがHDDレコーダー、βがビデオテープレコーダー

旧来のカテゴリのシェアは、未だ広大な面積(市場ボリューム)に覆われている。

企業のブランドスイッチではなく、
いかに旧来のカテゴリから、新規カテゴリへのシフトが重要なのだ。

ここで重要なのは、
言語化することではなく、面積として可視化すること。
同カテゴリ間の競争では視野が狭くなる。

実はこのシェアに関する資料は、
毎週の定例会で、出し続けることになる。

それは、クライアントに対し、
シェアを常に意識させるためだとかで。
その甲斐もあり、議論はぶれることなく進んだ。
毎回出すことで、クライアントを学習させるという手法もあるのだ。

USJのカテゴリ転換

USJの業績をV字回復させた森岡毅CMOも、
USJの位置付けを変えた。
氏が携わる以前のUSJは「映画の専門店」であったという。
要は映画好きの人しか訪れない観光地であったのだ。
それから「世界最高のエンターテイメントのセレクトショップ」に転換させたとある。

遊園地というカテゴリだけでは、
関西地区の遊園地や東京ディズニーリゾートというものであったが、
エンターテイメントというカテゴリにポジションを置き換え、
戦略を練られたということだ。

自らが、ターゲットを限定しすぎることに
こだわりすぎて、絞ることの弊害を表している。


市場戦略を狙うべきは、
やはりボリュームゾーンにどこまで食い込むか。

市場のレッドオーシャンにとびこむか、
はたまた、カテゴリを転換しブルーオーシャンを目指すか。

市場をまず面積で捉えることが重要である。

最後に、私が最近感銘を受けた
森岡毅氏の本を紹介。
個人としては既知の内容も含まれていたが、
マーケティングの重要性、手法が体系化されており、
大変頭の整理になった。
新入社員はこれを読むとよいかもしれない。

WEB業界への道は両さんのおかげ

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こち亀が9月の中旬に終わる。
関西編がはじまったあたりから、読まなくなって久しいが、
寂しい気持ちはみんなと一緒である。

私がこち亀を読みはじめたのは、96年ごろ。
小学校高学年同年代の人たちよりも遅いと思う。
私のこち亀に対するファーストコンタクトはアニメである。

キテレツ大百科が96年に終了し、
後番組がこち亀だった。

最初はアニメをみるくらいだった。

こち亀をはじめてコミックスで買ったのは99巻。
当時の最新刊だった。

私がちょうど家族で田舎(九州)に帰る際、
新幹線での暇つぶしにと、買ってもらった覚えがある。

その時の99巻の面白さといったらなかった。
両さんが買ってきたパソコンゲーム「THEカタ屋」というのがあり、
最初はシミュレーションゲームなのだが、
途中からドラクエやFFなどのキャラクターがでてきたり、
パロディ満載のゲームになるというオチ。

これが当時何度も読み返すほど、面白かった。
田舎では10日ほど過ごしたが、
暇すぎて、こち亀を20冊くらい買ってもらった。
99巻から遡り、コミックスを買い始めたのだ。

98巻は、前年(95年)に出たWindows95で火がついたパソコンブームが話題の中心。
話と話の間に、何十とあるパソコン用語の解説集が入るなど、
今思えば特異な巻だった気がする。

私は、なぜかその用語をノートにまとめて覚えていた。
家が裕福ではなかったので、とうていパソコンなどは買ってもらえなかった。
だから用語だけでも覚えたのだ。

そして、田舎から帰った私はすっかりこち亀のファンに。

ついに発売した100巻はインターネットの話から始まる。
インターネットやモバイル機器を使って、
両さんが金稼ぎに奮闘する話だ。
オチはいつものパターンではあったが、
インターネットを駆使する両さんがかっこよかった。

今私はWeb業界にいる。

おそらく、
この両さんが作り上げた
インターネットやパソコンの世界への憧れが
今の自分を作り上げているんだろうと思う。

下北沢シェルターの思い出

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ブログは2日目にして飽きてきた。
しかし、3ヶ月は続けないと続かないという鉄則があるらしい。
私の新人の頃の話をしようと思ったが、
それはまた後日話そう。

今日は、ライブを見に行った。
私はライブ自体は結構行くのだ。
下北沢シェルターで、famとASPARAGUSの2MANがあったのだ。
私はこのジャンルのライブが好きでよく行く。

famは再結成後、初のライブだったらしく、
シェルターは完売。
シェルター自身も25周年だそうで、
今月はスペシャルな企画が多いらしい。

ライブレポート出来るほど、
私の語彙の引き出しはないので、
ライブの中身は割愛。

私が言えることは、
私にとっても下北沢シェルターは特別な場所である。

下北沢シェルターといえば、
インディーズバンド(特にメロディックパンク)の聖地みたいなところがあって、
私は中高生の頃から憧れの場所であった。

私は社会人になってから、
自分の趣味でやってたバンドで下北沢シェルターの舞台に立ったことがある。
日曜の昼間にやってるオーディションライブだ。

あんまり当時のことは覚えていないが、
シェルターの楽屋の狭さの景色ははっきり覚えている。
しかし、この楽屋に私の好きだったバンドが何人も詰まっていたかと思うと、
身震いがしたのだ。

私はその後、そのバンドを脱退した。
シェルターの舞台に立てたことで満足してしまったからなのかもしれない。

書籍は下北沢シェルターの姉妹店「新宿ロフト」の創業者のエッセイ。
もっと、ライブハウスの歴史は深いんだ。

ライブハウス「ロフト」青春記

ライブハウス「ロフト」青春記

資料作成や提案書を作る上で便利な3つのフレームワーク

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9月になった。
ついこの間、年が明けたかと思ったのに。

残暑が残るこの時期になると毎年思い出すのは、
私がまだ新入社員だった頃のこと。
研修を終え、配属されてから2ヶ月経ち、
いよいよプロジェクトに本格的に入ることになった。

プロジェクトは、ある企業のWEB戦略策定であった。

もちろんアシスタントとして、
直属の上司の雑務をやるんだろうなと覚悟していたのだが、
私の業務はそうではなかった。

WEB戦略ということで、
会社が外部の協力会社としてコンサルタントのA氏を雇っており、
私はそのコンサルタントの下でアシスタントをするということになったのだ。

A氏からは、資料作成や提案書を作る上で、
便利なことを教えてくれた。
それはたった3つに集約された。

約10年経った今でも意識するようにしている。


空・雨・傘

ある時、その彼から、WEB施策を整理するように頼まれた。
私はなんとなく過剰書きで書いたが、彼はそれを見るなり、
もっと整理して書いて欲しいと言った。

まとめる時は、「空・雨・傘」でまとめるとよいよと教えてくれた。

 空・雨・傘とは次のようなフレームを指します。

  空―「空は曇っている」(事実認識)
  雨―「ひと雨きそうだ」(解釈)
  傘―「傘を持っていこう」(判断)

詳しくは以下を参照されるとよい。
shuchi.php.co.jp


コンサルタントA氏はマッキンゼー出身だったこともあったのか、
このフレームワークは基礎的なこととして教えてくれた。

MECE

ある事柄に対して、顧客シェアをMECEで分類してほしいといわれた。

ミーシーと発音し、Mutually Exclusive、Collectively Exhaustive の頭文字をとったものです。日本語に訳すと、「漏れがなく、ダブりもない」という意味になります。

allabout.co.jp

もれなく、だぶりないということは、
相手に余計なことを考えさせないことでもあった。

よくクライアントとの話の中で、
「このパターンこうだけど、他のパターンはどうするのか?その方針がわからないから決められない」
という議論は交わされる。
こちらは部分的議論に集約したいのに、クライアントは急に全体的な議論にしたり、
他の部分まで気になり出したりするものだ。
もれなく、だぶりのない伝え方は必要だと感じている。

色は最後につける

そして、最後にいわれたのは、
私が提示したドキュメントについて。
図やグラフ、ステンドグラスのようにいろんな色が使われていた。
そのドキュメントのシートで伝えたい箇所は、どこなのかわからなかった。

私が言われたのは、ドキュメントは最初は、
シンプルに白と黒で表現し、
最後に強調したい箇所を赤などで表現したほうがよいと。

これを行うことで、シンプルながらも、
見やすいドキュメントを書くことができるようになった。


この3つを押さえたことで、
ドキュメントをロジカルに書くという基礎的な武器を手にいれることができた。
そして、フレームワークを知ることに快感を覚えた私は、
この後、ビジネス書にはまっていくのであった…。

マッキンゼー流図解の技術

マッキンゼー流図解の技術

マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術

マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術

リベッテ ディレッテとは

このブログのタイトルの理由というのは、
私自身が大学でリベラルアーツ系の学科を卒業し、
現在はWEBディレクションの仕事についていることに由来します。

リベラルアーツというのは、わかりやすくいうと日本語で「教養」という意味です。
歴史としてはギリシャ・ローマ時代に生まれたのだそう。
リベラルアーツは専門性をもつ学問ではなく、あらゆる基礎的な学問となり、
文系、理系を横断して、教養として身につけることにあります。

多角的な視点を養うといったことに重きを置いているのかもしれません。
ただ、すこし悪い言い方をすると、「浅く広く」ということでしょう。

しかし、この概念は、私の人生の基礎となっています。
というのも、まさにWEBディレクターという仕事自体は、
リベラルアーツを投影しているものだからです。

私はプログラムができるわけではないし、
デザインができるわけではありませんが、
それぞれに浅く広くかじっているので、
ディレクターとしては、いろんな役割の人たちと話すことはできます。

このブログを立ち上げた理由は、
リベラルアーツとディレクションの経験を通じて、
何かを体系的にまとめていきたいと思っております。