リベッテ ディレッテ (WEBサイト制作の中の人の話)

リベラルアーツとディレクション

スケジュールをひくことで意識すべきこと

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

本日も、「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)」からの話題。

2回目はスケジュール。

1回目の話はこちら。

libettedirette.hatenablog.com

スケジュールの重要性は説明する必要がないかと思う。
本書によると、スケジュールには以下のような機能があると説明されている。

スケジュールには3つの機能があり、
ものごとがいつ完了するのかをあらわすこと
チーム全体における個人の成果物の位置付けを皆に理解させること
進捗の管理を可能にすること

プロジェクトの開始から完了まで余裕をもったスケジュールを作れるとよいのだが、
うまくはいかないことも多い。

クライアントは、スケジュールの期間を楽観視する。
WEB制作において半年は、かかるような大型プロジェクトにおいても、
3ヶ月でやって欲しいといわれることがある。

個人的に思うことは、作業という点では、
人界戦術で物理的にカバーできることはあるが、
人の思考はそのスピードに追いつかないことも多い。

というのは、
クライアント側の処理能力にも依存する。
半年を3ヶ月に圧縮するということは、
検討期間は2日から1日に圧縮する。
はたまた、2時間を1時間と…。

プロジェクトのあらゆる決め事に対し、
プロジェクトオーナーとしてクライアントは理解していただく必要がある。

その要件に対する解(WEBにおける成果物)が正しいかどうかの妥当性を
判断するスピード感はクライアントのリテラシーや力量に依存する。

やり手のディレクターは、
クライアントのリテラシーや力量をカバーするように、
それをわかりやすい資料にまとめたりする。
または、クライアントの"すべて"を理解するという工程をすっとばし、
信頼関係でもって補完する。
いわゆる「あなたにお任せ」状態をつくる者もいる。
(但し、これはプロジェクトオーナーとしてどうなのか、
あとから、言った言わないの議論に持ち込まれる可能性もある。)

タイトなスケジュールほど、
プロジェクトマネジメント側が、
スーパーマンにならなければいけないという問題は切り抜けられない。


スーパーマンになれないかもしれないが、
「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」では、
スケジュールにおいて意識すべきこととして、
以下にまとめられている。

マイルストーンの長さはプロジェクトの不安定さに見合ったものとする。
・ビジョンに対しては楽観的に、スケジュールに対しては懐疑的に。
・設計に力を注ぐ。
・追加/削除を議論するためのチェックポイントを計画しておく。
・計画の哲学をチームに伝えておく。
・問題領域におけるチームの経験を見極める。
・共同作業に対するチームの自信と経験を測る。
・リスクへの取組みは早めに行う。

※各項目の説明に対しては、本書を是非参照していただきたい。

これらをスケジュールに盛り込むことは、
プロジェクトマネジメントの技法として、意識をしておいたほうがよい。
ただでさえ、時間がないのに…という状況でも、
このリストにあることが、スケジュールに対して柔軟性を生む。

スケジュールというのはあくまで見込みでしかない。
どれだけスケジュールを後からでも、臨機応変に対応できるかどうかが、
プロジェクトマネジャーとしての力量の見せ所である。

 

(過去の話題)プロジェクトマネジメントにおけるバランス感覚 - リベッテ ディレッテ

 

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)