リベッテ ディレッテ (WEBサイト制作の中の人の話)

リベラルアーツとディレクション

プロジェクトマネジメントにおけるバランス感覚

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

IT業界にはPM(プロジェクトマネジャー)という役割が存在する。
開発体制のヒエラルキーの最も上部に体制図の上で、君臨することになる。

最近私が思うのは、
プロジェクトマネジャーとして役割が
形式的なものになっていないかという不安である。

プロジェクトマネージャ試験(PM)のサイトにこう説明がある

www.jitec.ipa.go.jp


プロジェクト全体の意思決定を実行し、
品質・コスト・納期に全責任をもち、
前提・制約条件の中でプロジェクトを確実に成功に導き、
プロジェクトメンバを成長させるマネージャ

この活動がすべての人にできるのだろうか。
スーパーマンに近い存在である。

私のプロジェクトマネジメントに関するバイブル本があるのだが、
今回から何回かにわたって、説明していこう。

その本というのが「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」である。

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

 

本書の著者は、

マイクロソフトでInternet Exprolerの開発などのPMに従事。

本書自体はもう10年ほど前の発刊にはなるが、
書いてあることは、普遍的なものである。
今でも、この本に書かれていることに立ちかえり、
自分が行っている取組みを見つめなおすことができる。

まずその本の第1章に
プロジェクトマネジメントにおけるバランス感覚というものがあった。
その項目はいかの通り。

・エゴ/非エゴ
・独裁/委譲
・曖昧さの許容/完全性の追及
・口頭/文章
・複雑さの容認/簡潔さの支持
・焦り/忍耐
・勇気/恐れ
・信者/懐疑論

 

これら2つの対立構造になる語句がならんでいるが、

PMはこのバランスの中での判断が求められる。
その中でも、気をつけるべきは以下である。

一つ目にエゴという項目があるが、
PMはプロジェクトを任命され、自身のキャリアにつながり、
完了すれば称賛されるという目的があるかもしれない。
時として、それがPM個人の原動力となり、
プロジェクトを推進するかもしれない。

しかし、自分のエゴを優先してしまうようなことがあってはならない、
重要な仕事や面白い仕事は人に任せ、
称賛や報奨はチーム全体で分かち合う必要があるのだ。

繰り返すが上記に記載したリストは、
すべてにおいて、"時として"である。

プロジェクトを推進するのにあたり、
強引にやらなければいけないこともあるだろう。

こういったバランス力のある人は、
生まれ持っての才能なのであろうか。

そんなことはなく、
本書のように、言語化や項目化することで、
個人が意識できるようにはなる。
あとは実行できるかが、その人の力量となるのだ。

 

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)