リベッテ ディレッテ (WEBサイト制作の中の人の話)

リベラルアーツとディレクション

市場シェアの可視化の大切さ~新入社員時代に習ったこと~

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photo by PAKUTASO

私が新入社員時代の話を書きたいと思う。

libettedirette.hatenablog.com


以前、こういった内容を書いた。

私は、ある外部のコンサルタントのA氏より、
資料作成をする上で、大切なことを3つ習った話だ。

それには続きがあり、
もう1つ、マーケティングにおいて、
有用なことを習ったので、それを紹介しよう。

私はある外資系メーカーのWEB戦略に従事していた。
従事といっても、新卒なのでアシスタントだ。
上司や外部コンサルタントからの指示のもと、資料を作る。

ある外資系メーカーは、
ある商品カテゴリαの中で、トップブランドだ。
守秘義務はもちろんあるため、伏字にしなければならないのが口惜しい。

コンサルタントから習ったのは、
戦略というのは常に市場を意識しなければならないということ。

現状の市場を把握する

まず、そのカテゴリに対して、
積上げ棒グラフのような図を書いた。
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X社は50%程度のシェア率。
クープマンの目標値で言えば、
「相対的安定シェア」である。

クープマンの目標値の説明は下記のサイトを参照されたい。
www.systrat.co.jp


そして、A氏は、あることを付け加えるように、
この箱の面積を広げた。

狙うべき市場は外にあった

この商品カテゴリ自体は、
実は、旧来のカテゴリβから発展して、新しいカテゴリに置き換わったものだった。

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競合企業からどう奪うかの話をすることに終始するのではなく、
旧来カテゴリからどう奪うかの話もすべきなのだ。
X社はトップ会社だ。なおさら意識すべきである。

とまぁ、
いろいろと伏字では恐縮なので(例)にすると以下のようなイメージだ。

・携帯電話:αがスマートフォン、βがガラケー
・視力矯正機器:αがコンタクトレンズ、βがメガネ
・時計:αがスマートウォッチ、βが従来時計
・書籍:αが電子書籍、βが紙の書籍
・録画機器:αがHDDレコーダー、βがビデオテープレコーダー

旧来のカテゴリのシェアは、未だ広大な面積(市場ボリューム)に覆われている。

企業のブランドスイッチではなく、
いかに旧来のカテゴリから、新規カテゴリへのシフトが重要なのだ。

ここで重要なのは、
言語化することではなく、面積として可視化すること。
同カテゴリ間の競争では視野が狭くなる。

実はこのシェアに関する資料は、
毎週の定例会で、出し続けることになる。

それは、クライアントに対し、
シェアを常に意識させるためだとかで。
その甲斐もあり、議論はぶれることなく進んだ。
毎回出すことで、クライアントを学習させるという手法もあるのだ。

USJのカテゴリ転換

USJの業績をV字回復させた森岡毅CMOも、
USJの位置付けを変えた。
氏が携わる以前のUSJは「映画の専門店」であったという。
要は映画好きの人しか訪れない観光地であったのだ。
それから「世界最高のエンターテイメントのセレクトショップ」に転換させたとある。

遊園地というカテゴリだけでは、
関西地区の遊園地や東京ディズニーリゾートというものであったが、
エンターテイメントというカテゴリにポジションを置き換え、
戦略を練られたということだ。

自らが、ターゲットを限定しすぎることに
こだわりすぎて、絞ることの弊害を表している。


市場戦略を狙うべきは、
やはりボリュームゾーンにどこまで食い込むか。

市場のレッドオーシャンにとびこむか、
はたまた、カテゴリを転換しブルーオーシャンを目指すか。

市場をまず面積で捉えることが重要である。

最後に、私が最近感銘を受けた
森岡毅氏の本を紹介。
個人としては既知の内容も含まれていたが、
マーケティングの重要性、手法が体系化されており、
大変頭の整理になった。
新入社員はこれを読むとよいかもしれない。